ザ・ライデン村上ブログ:エクストリーム・ストレージ

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プラモデル:フジミ模型1/144スケール 富嶽改の文章レビュー

難点複数あり。でもこういう商品があって良かった!

※アマゾンの購入ページにて同じ文章を寄稿しています。

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私自身はこのプラモデルを買って良かったと思いますが、難点がいつくかありますので紹介しておきます。

確かにプラモデルではあるものの「大体の形で再現してくれた簡易キット」という印象で、惜しい部分も散見され、初心者向けではないプラモデルといった感じでした。
国内大手のタミヤさんハセガワさんのような精度や組み立てやすさ、ディテールは全く期待しない方がよいと思います。
(そもそも1/144スケールですので色々と限界はありますし、決して高い価格ではないですので尚更です)

※ちなみに商品のバリエーションで富嶽(下位互換)と富嶽改(この商品)の違いは、おそらく富嶽改には砲塔や主翼燃料タンク?(内側の2発のエンジンの後方に円筒形状な延長されている部品)の増設かと思われます。
これらのパーツは他の主要パーツより濃いグレーの成型色で同封されていました。

・まず、ほぼ全てパーツ表面がいわゆる梨地で、かなりザラザラしています。
綺麗な表面&綺麗な塗装を目指す方はペーパー掛けが必要になります。
特に胴体は円筒ですしスポンジ研磨剤がオススメです。
(下地処理をせずに適当な塗装でもよい方にとっては、食い付き自体は悪くないかもしれません)

・透明パーツのキャノピー(風防)も梨地でザラザラになっています。
スポンジ研磨剤の400、600、800、1000、1500と順番に擦っていき、最後にピカールで磨いて透明感を出すのもよいかもしれません。
元々窓枠のモールドが浅いの箇所はかろうじで形が分かる程度で残せますが、マスキングの時に綺麗に形を出して塗れば何とかなりそうです。

・バリは(まるで昔のキットのように)結構ある箇所もあります。
(気にならない箇所もあります)

・ヒケの箇所は意外と少ない方ですが、胴体の前後端や翼裏の端、主翼表側のエルロンはかなり擦らないと消えないか、瞬間接着剤で盛らないといけないと対処できない箇所もあります。

・押し出しピン跡(丸い窪み)は主脚カバー内など普通にありますが、これは処理しやすいです。

・巨大な主翼などを繋いであるランナーは、ゲートが“とてつもなく太い”です。
大きなニッパーで力を入れても切れそうなものではなく、ちゃんとノコギリで切断した方がよいです。
※無理にニッパーで強行するとニッパーをダメにしたりパーツを割って壊す可能性あり。

主翼や胴体を合わせるダボとダボ穴が非常にキツキツなので、仮組みが普通にできません。
スムーズにハメたり外したりできるようにドリルでダボ穴を広げてやる必要があります。
またダボ類のクリアランスを広げてやっても胴体の上下のズレなど少々ありますので、どこが当たっているか確かめながら削らないといけない箇所も結構あります。

・プロペラを二重反転(エンジン1基に対して4枚と4枚の計8枚)を選んだ場合にプロペラ穴に通すシャフト部品の長さが足りず、ちゃんと作りたいなら2mm径くらいのプラ棒やアルミ棒で新造する必要があります。
また、プロペラのスピナー部分への付け根が非常に細く脆く(このパーツも表面が梨地ですし、隆起したバリも結構ありますから)、処理していると折りやすいので要注意です。
私がここアマゾンで注文購入したものは、開封した時点で4枚プロペラ部品が1枚折れて届きました。
ちなみに6枚プロペラ部品だと何故か予備パーツが同じ数だけあるのに、4枚プロペラ部品は予備なしです(苦笑)
自分はどっちみち他の4枚プロペラパーツを処理中に追加で2枚も折ってしまいましたが(そもそも付け根のプラが白くなってて脆かった)、0.35mm径のドリルでブレード側とスピナー側に穴を開け、0.3mm径の硬い鉄線を埋め込んでタミヤセメントで(ちゃんと溶かして接着)補強修理しました。

・胴体の左右を接着する前に、操縦席の後ろの空間にオモリを入れないと尻餅をついてしまう(前輪が浮いてウイリーしてしまう)のですが、釣具の錘(鉛)などが必要になるので用意しないといけません。
少ない空間に効率よく、結構な重さのオモリを入れないといけないので、釣具の錘をハンマーで叩いて整形したりと相当手間は掛かります。
もちろんパチンコ玉、ネジ、ナットなど鉄製品でもよいでしょうが、その分沢山入れないといけないと思います。
(正確に測ってないし、どれだけ前側に錘を集中できるかで変わると思うのですが、15g以上のオモリは必要そうです)
胴体・主翼・尾翼・車種など全てを仮組み状態でテストし、本当に尻餅を付かないか調べてから進めた方がよいかもしれません。
私は5gの円錐形の釣り具の錘を2個と、昔持ってた10歳用エアコッキングガンに入っていた長方形の錘(多分8gくらい)を敷き詰めクリアしました。どちらも鉛です。
胴体内壁にクラフトボンドで入念に着けておき、完成後に簡単に外れたり動かないようにしました。
※一応、飾り台が付属していて飛行状態を再現する方なら省略しても問題ないと思います。

・胴体の左右接着前に先端の風防、見張り塔など透明パーツを入れておく事になっており、合わせ目消しや塗装の時に邪魔になったり、キズ対策をしなければなりません。
これは各パーツの挟み込まれる突起部分を切除しておけば、胴体接着後も後付け可能にもできます。
(私の希望はこれは最初から後付けできるようにして欲しかった)

・胴体尾部の銃座室も透明パーツですが、中身がヒケていて空洞になっている箇所があります。
小窓部分からヒケの境界線が目立つので、中に透明のUVレジン液などで満たして誤魔化すとよいかもしれません。
また、垂直尾翼をきっちり胴体に密着させると銃座室パーツと隙間がかなりできます。
これは胴体内の取り付けガイド溝をよく削って、銃座室がもっと上に行くように&垂直尾翼と隙間が均等になるよう調整しないといけません。

・エンジンカウルが被さる突起(主翼の上下張り合わせになります)とエンジンカウルの位置が合っている箇所と合わない箇所があり、6発がランダムでいい加減な形状不一致が出ます。
スジボリの復活作業にも加え、もし綺麗に形状を整えて対処するならプラ板、瞬間接着剤、パテなどでの調整は相当大変なので、それなりの覚悟が必要です。

・車輪のホイール部分とタイヤ部分の境界があまりクッキリしていないので、筆で塗り分けるのは少し難しそうです。
例えばエアブラシで先にホイールをラッカー系のシルバーで塗り、タイヤを水性カラーの黒系で筆塗りすれば(この組み合わせならシルバーと黒は溶け合いません)はみ出た黒を爪楊枝でこそぎ落とす事はできます。
または、どちらもエアブラシなら先に黒を全体に塗って、タイヤ部分を円のステンシルや円マスキングで隠してホイールを塗る方法もあります。

・爆弾槽の爆弾は平面から半分が立体的に飛び出て再現されているものの、機体内部色と爆弾の色をクッキリ塗り分けるのは相当大変そうです。
(爆弾槽の扉は閉じた状態も選べるので、私自身は中の塗装は諦める事にしました)

デカールに関しては使用予定が無いので、申し訳ないですが割愛します。
デカールの見た目的にも厚みが分厚いとかそんな感じもなく、極端に悪くはないと思います)

こんな感じであまり良くない点、苦労しそうな点の一例を挙げていきましたが、作り易さ重視や、綺麗丁寧に仕上げたいけど面倒な作業が嫌いな方にはオススメできない商品であると言えます。

逆に言えば、難しいキットほど燃える、面倒な作業や修正も楽しいと感じる方、そもそもプラモデルを改造したり時間を掛けて綺麗丁寧・完璧に仕上げるのがやり甲斐の方には向いていると思います。

私自身は正直面倒な作業は嫌いな方で、早く完成させたいタイプのモデラーですが「自分の思い通りに出来た=チャレンジして技量UPしたい」というのと「本物の富嶽も開発に難航したり製造でトラブルが続出したはずだ」などと考えれば、そんなに苦ではありませんでした(半笑)
やはりプラモデルは作業している最中すらも楽しい、楽しめたら一番良いです。

あまり精度の良いとは言えないキットでも、自分で丹念に仕上げていくのも決して悪くないと私は感じました。
なので私は「こんな商品があって良かった!」と思えました。
むしろ、この価格で購入できるなら値段相応、もしくは安い方であると考えてもよいかもしれません。
(逆にこの商品が無かったなら、ソリッドモデルや3Dプリンターで1から自分で作らなければならないので、そう考えると文句や不平不満ではなく感謝の方が湧いてきます)

ちなみに、もしこのプラモデルがタミヤさんやハセガワさんに匹敵するのようなキットだったなら、それはもう6000円、8000円、10000円の値段はしたかもしれませんね。

もちろん値段の問題ではなく「そのプラモデルを楽めたか」「完成後に飾っていて嬉しい気持ちになるか」が大事と思いますので、その点やはり「富嶽のプラモデル」の存在意義はあると感じました。

説明書には富嶽に関する情報、解説などはほぼ書かれていない点は寂しいですが、インターネットでウィキペディアなど参照にすればよい訳ですし、本当に便利な世の中です。

一応、元になったこの富嶽とは、戦時中に中島飛行機の中島知久平さんが直々に提訴した「Z計画」です。
実機は実現に程遠い計画状態で終わったが、フジミ模型さんがプラモデルという形で実現を叶えてくれた、ロマン溢れる商品だと思っています。
1/144という一見小さ目だと思えるスケールでも、完成すれば全長約32cm、全幅約46cmというとんでも超爆撃機なのです。
水平尾翼なんて1/48スケールの烈風の水平尾翼と同じくらいです)

世界に実在するものでは、アメリカ空軍のB36ピースメーカーがサイズ的にも近いですが「もし日本が富嶽を完成に漕ぎ着けていたら・・・」と考えるだけでも面白いです。
※戦争賛美ではありません。
軍事と航空大国アメリカでさえ容易ではなかったB36の開発、製造、コストなど運用事情を考えれば、当時の日本に富嶽が完成したとしても色々と問題が出てきて無謀だったと考えるのも自然ではあります。

とにかくこの富嶽のプラモデルは6発のエンジン、プロペラ枚数や排気タービン管の数も多く、完成は決して簡単で早く済む訳ではありません。
それでも架空機なので塗装は自由ですし、中島系の暗緑色(海軍か陸軍か)や無塗装ジュラルミン再現、試作機オレンジなど悩みます。
とりあえず色々と“苦悩”を楽しみながら完成させたいです。

※私のレビューで言及している内容は必ずしも100%絶対に正しいとう保証や主張はありませんので、ご了承下さい。
ただ、もしこのレビューで少しでも参考になっていただける方がおられれば幸いです。
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました!

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